ありふれた恋を。

『カモフラージュに決まってんでしょ、瀬川に気付かれない為の。それに私が先生のこと好きって言ったら嫉妬とかしてくれるんじゃないかって思ったし。まぁ全然されなかったけど。』

「なにそれ、彩ちゃん可愛い。」

『は？バカにしてんの？』


思わず出てしまった一言に彩ちゃんは怒って、だけどすぐに諦めたように笑った。



『嫉妬はしないし私の本当の気持ちにも気付かないし、瀬川の鈍さにどんどん腹立ってきて…気付いたら全然関係ない先生のこと好きな女子に当り散らしてた。』


最低だよね、と言った声はとても小さくて、沢山の後悔が滲んでいた。



『もうやめる、こんなことやめるって思ってたけど、瀬川がなつなつのこと可愛いって言う度やめられなくなって…。突つくことなくなってつまんなくなるって言ったけど、本当はずっとこんな自分が嫌だった。』

「そっか。そうだったんだね。」


でもそのおかげで私は先生と付き合えることになったんだけど、それはさすがに言えないし。