ありふれた恋を。

「結構楽しかったよ、毎日声かけてもらえて。一緒にお弁当食べようって言ってくれて嬉しかった。」

『全部断ってたくせに。』

「それは、ごめん。」


2人の小さな笑い声が、沢山の生徒たちの笑い声の中に微かに響く。



『悔しいけどさ、瀬川がなつなつのこと可愛いし良い子だって言うの分かっちゃったわ。』

「彩ちゃん。」

『なんかごめんね…今まで。伊吹にも変なことするなって怒られたから、さすがに反省した。』


私の目を見て言ってくれたことに、きっと本当は良い子なんだろうなと思った。



『でも私、瀬川のことはこれからも諦めないから。なつなつも可愛いとか言われたからって瀬川のこと好きになんないでね!』

「なんないよ。私は彩ちゃんを応援する。」


私には先生が居るから、他の誰かを好きになったりなんかしない。

私が夢中で先生を追いかけていたときがあったように、彩ちゃんもきっと必死なのだろう。


彩ちゃんの本心が知れて、ようやくちゃんと友達になれたような気がした。


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