ありふれた恋を。

お兄ちゃんの部屋には、私の方が先に着いた。

先生は職員会議が長引いているのかもしれない。


雑貨や服などがなくなったお兄ちゃんの部屋は前にも増してすっきりしている。

キッチン用品も少なくなっていて、きっと香奈さんにも美味しい料理を振る舞っているのだろう。


私は家から持ってきた材料を使ってオムライスとスープを作り、宿題をしながら先生の帰りを待つ。



『ただいま。』


何か微かな温もりを感じて目を開ける。

あぁ寝ちゃってたんだと思い、すぐ傍に私の髪を撫でる先生が居たことに一瞬で目が覚めた。



「おお、おかえりなさい。ごめんなさい私寝ちゃってました。」

『ううん、こっちこそ遅くなってごめんね。』


先生は学校で会ったときの格好ではなく、Tシャツにチノパンというラフな服装だ。

1度部屋に戻ったのかもしれない。



『ご飯作ってくれたんだな。』

「あ、はい!食べますか?すぐに温めます!」


先生の帰りを待ち、2人でご飯を食べられる。

ほら、やっぱりそれだけで幸せじゃないか。



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