ありふれた恋を。
「謝らないでください。」
思うことが沢山ありすぎて、何からどう伝えれば良いのか分からなくなる。
ただ、謝ってほしくなかった。
確かに私はどこにも出かけられないことを残念に思ってしまったけど、それを上回るくらい先生と一緒に居られる幸せに気付いた。
だから先生は何も悪くないのだと、そう伝えたいのに。
『どうすれば良い?』
先生は私の声なんて聞こえていないみたいに弱々しいままで話すことを止めない。
『どうすれば、有佐に寂しい思いをさせなくて済む?』
「先生…」
私が寂しさを感じていると、先生はそう思っている。
そんなことないのに。
一緒に居られるこの時間が何より大切でかけがえないのに。
その時間で先生にこんな思いをさせたくなかった。
でも…
「私は寂しくなんてないですよ。」
もしかしたら私なんかよりも全然先生の方が寂しい思いをしているんじゃないかと思ったら、私の声もとても弱いものになってしまった。