ありふれた恋を。

「何からすれば良いですか…。」


とてもお兄ちゃんの部屋と同じ間取りだとは思えない仕上がりに、もはやお手上げ状態だ。



『捨てるのと残すの分けるから手伝ってくれる?この機会に断捨離するわ。』


いつの間にかマスク姿の先生がゴミ袋を広げている。

自分で作り出した香りにやられてるじゃん。



「いつから整理してないんですか?」

『2年くらい物を捨てた覚えがない。』


2年。

不意に出てきた数字に反応してしまう。

2年前に捨てた物は、彼女さんやサッカーに関わる物…?



「でも、思ってたより床とか綺麗でした。もっと埃まみれかと思った。」


そこに引っかかったことに気付かれないように慌てて話題を変える。



『それは、有佐を部屋に上げる為にこつこつ掃除してたからな。ちょっとくらい自分でもやってたんだぞ。』

「へぇ、えらいですね。」


私を上げる為に掃除してくれていた。

いちいち過去に反応していないで、今先生の彼女は自分なんだと自信を持たなくては。



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