ありふれた恋を。
「ちゃんと守るから、卒業までは絶対。」
『うん。』
「でも、今日は泊まっていけ。」
『うん。』
有佐の腕の力が少し強くなる。
このまま離れたくないと、同じ想いを抱えていることがこのぬくもりから伝わってくる。
この2年間、想像すらしていなかった。
夢も恋人も失って、またこんな風に誰かを心から好きになれる日が来るなんて。
飾らず無理せず、そのままの自分を晒け出せる恋人ができるなんて。
卒業まではって、その先もずっと一緒に居ることを当たり前に思っているから出た言葉で。
俺はずっと教師として生きて行こうと思っていて、そして有佐の恋人として生きて行こうと思っているんだ。
あんなにも忘れられなかった瑠未という存在が、今はもう思い出せないくらい遠く昔のことになっている。
「有佐。お前はすごいよ。」
たった1人の大きすぎる存在が、俺を確かに救い上げてくれた。
夢に破れて逸れてきた道で有佐に出会えたのなら、俺はこれで良かったんだと思えた。