ありふれた恋を。
ただ大学時代の思い出話をすれば自然とサッカーの話題になるだろうし、それと同時に瑠未を思い出してしまうことも分かってくれている。
それくらい、俺の大学生活はサッカーと瑠未に染まっていた。
「悪かったな気遣わせて。おかげさまで幸せにやってるよ。」
今頃部屋に1人待っているかもしれない夏波を思い、昼休みの表情がまた頭をよぎる。
俺を好きにならなくて良かったなんて、そんなこと思ってないよと言った夏波。
「分かってるよ」という気持ちを、帰ったらもう1度伝えよう。
『へぇ。ついに弘人に彼女ができたか!なんだよもう、早く言えよ!』
賢太は大げさにのけぞりながら嬉しそうに笑い、安心したようにホッと息をつく。
会わなくても連絡を取り合わなくても、ずっと気にかけてくれていたのだと思うと、申し訳ないような気持ちになる。
『で、どんな子どんな子?』
興味津々といった様子で前のめりになる賢太に笑い、普通の子だよと答える。
まさか教え子だなんて言えるわけがない。