ありふれた恋を。

『瑠未、離婚するかもって。』

「…は?」


自分の耳が何を聞いたのか、瞬時には理解できなかった。

瑠未の名前も離婚の意味も分かるのに、その2つを結び付けるものがない。



「え?離婚ってことは…あいつ結婚したのか?」

『はっ?そこから!?』


賢太の驚きよりも、俺の驚きの方が衝撃は大きいと思う。

本当に初耳だった。

まず瑠未が結婚していたなんて、想像すらしていなかったしどこからも情報が入っていなかった。

そして今はもう離婚の話になっているなんて…。

俺に気を遣って耳に入れないようにされていたのかもしれないけれど、言いようのない苦い想いが胸に広がる。



『瑠未がモデルになったことは知ってるか?』

「まぁ、それはなんとなく。詳しいことは全然知らないけど。」

『そんなに目立った活躍はできてないみたいだわ。それで去年結婚した。』


目立った活躍ができなかったことと結婚。

それにどんな関係があるのだろう。



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