ありふれた恋を。

高校を卒業して一緒に住もうと言ってくれたとき、私は本当に嬉しかった。

受験生の頃は学校以外でほとんど会えなくて寂しかったし、これからは人目を気にすることなく一緒に居られることもまた嬉しかった。

付き合っていることも一緒に住みたいと思っていることも両親にきちんと話してくれて、今ではもう1人子供が増えたかのように可愛がられている。


家事が苦手なのは相変わらずだけど、ゴミ出しをしてくれたり買い物をしてきてくれたりととても協力的。

休みの日は遠出してくれるし、平日も寄り道せず早く帰って来てくれる。

そんな何気ない一瞬一瞬が、全部大切で特別で。


ここに来るまでいろんなことがあったけど、2人で乗り越えてきて良かったと今思えている。



「ただいまー。」


まだ弘人さんが帰っていない部屋はとても静かで広く思える。

弘人さんが帰って来たら、今度彩ちゃんが遊びに来たいと言っていたと話そう。

そんなことを思いながらキッチンに立ち夕食の準備を始める。



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