ありふれた恋を。
お兄ちゃんは電話には出なかったけど、しばらく経ってからメールが来た。
『同僚との飲み会を断って真っ直ぐ帰ることにした。』というお兄ちゃんのメールに笑ってしまう。
久しぶりに会えるのを楽しみにしているのは私だけじゃないみたいだ。
お兄ちゃんが家に帰って来ると言う時間に合わせて家を出た。
電車とバスを乗り継いでお兄ちゃんのマンションへ行く途中、私は飽きずに先生のことを考えていた。
ちょっと踏み込みすぎたかな…。
でも好きだから気になってしまう。
だけどあの先生の表情や態度を見ていると、これ以上聞くのは気が引ける。
あぁ、なんか…本当に訳が分からなくなってきた。
私は一体何がしたいんだろう。
先生に対して何かできることがあるかもしれないなんて思っておきながら、その場しのぎの会話ばかりして。
先生が自分だけで持っている領域に踏み込んで、あんな顔をさせてしまった。
こんな中途半端な振る舞いは先生にも迷惑をかけるだけなのにな。