ありふれた恋を。

『あ、わりーわりー。どうでもいいよな、こんな話。てかお腹すいてる?』

「ううん、ご飯食べてきたから大丈夫。」

『じゃあ俺だけ出前でもとるか。ちょっと電話してくるわ。』


1人だけ出前なんて若干うらやましいなと思いつつ、私はお隣さんがつけたというシミを眺める。

よくもこんなに堂々とシミを付けられたもんだ。

しかも潔癖症のお兄ちゃんの、潔癖症だからこそ綺麗さをキープできる白いソファーに。


雨の日でも洗濯が干しっぱなしで、部屋が汚いからお兄ちゃんの部屋に来ている…。

お兄ちゃんが男性にしては何でもできるってだけで、世間の男性の独り暮らしなんてそんなものなんだろうか。


出前を頼むお兄ちゃんの声を聞きながら、私はソファーに横になる。


あぁ、ちょっと眠いかも…。

ずっと先生のことばかり考えていて、頭が煮詰まっていた。


♪ピーンポーン


目を閉じかけた時、インターフォンがなった。


…ん?お客さん?


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