ありふれた恋を。
お兄ちゃんまだ電話中だし…、私が出ても良いのかな…?
でも宅配便だったら無視するのも良くないよね…。
仕方なくソファーから起き上がりのそのそと玄関へ行く。
そっとドアスコープを覗くと眼鏡をかけた長身の男性が立っていて、その姿を見た瞬間反射的にドアを開けていた。
『有佐…?』
「先生…?」
2人の声が重なる。
そこに立っていたのは紛れもなく先生で。
予想外すぎて言葉が何も出て来ない。
なんで?
なんで先生がいるの?
しかも眼鏡だし私服だし格好良いし。
私と同じように、先生も頭からハテナマークを飛ばして私を見ている。
『夏波?……って、あれ?噂をすれば弘くんじゃん。』
『あ、和哉。』
弘くん?
和哉?
お兄ちゃんは先生を弘くんって呼んでて、先生はお兄ちゃんを呼び捨てにしてる。
え、なんで…?