ありふれた恋を。
「えっ、ちょっと待って。状況が読めないんだけど…。」
『同じく。』
『え?2人知り合いなの?』
私と同じように、お兄ちゃんと先生も混乱しているようだった。
「先生だよ、ウチの学校の。」
『うぇぇ?そうなの?
弘くん、夏波の高校で先生やってんの?』
『うん、まぁ…。』
先生は、どこかバツの悪そうな顔をしてオロオロしている。
プライベートな姿を見られたのが恥ずかしいのだろうか。
うん…?
ちょっと待てよ…?
もしかして、もしかして…。
「お兄ちゃん、さっき話してたお隣さんって…」
『うん、弘くんだよ。』
「へ、へぇ…。」
お兄ちゃんのお隣さんが、先生…?
驚きすぎて空気のような声しか出ない。
だって、お兄ちゃん言ってたよね。
ソファーにシミを付けた…
部屋が散らかってる…
雨の日でも洗濯が干しっぱなし…
この情報と先生が全く結びつかなくて。
私が知る先生はいつも清潔感があってきっちりしている、非の打ち所のない人だから。