ありふれた恋を。
『そうか…有佐は和哉の妹だったか。結構珍しい名字だけど気付かなかったわ。あんまり似てないんだな。』
お兄ちゃんは私の存在など見えていないかのように先生を部屋にあげ、先生は自分がシミを付けたソファーでくつろいでいる。
先生の隣が空いているけれど、そこに座るのは恥ずかしくて少し離れた場所に座った。
先生は、夜暇だからと言って毎日のようにお兄ちゃんの家にやって来るらしい。
私の知らない所でこんな友情が芽生えていたとは思いもしなかった。
「でもビックリした。お兄ちゃんのお隣さんが先生だったなんて。」
『ぷっ。先生だってよ、弘くんが。』
私が先生と呼ぶと、お兄ちゃんが小バカにしたように吹き出す。
『なんだよ和哉。』
『いや…弘くんが先生とか未だに信じらんねぇから。』
「なんで?」
『え?だってさ、すげぇ散らかってるんだよ、家が!』
私にはそれが信じられない。
何度も言うが、学校での先生は完璧な人なのだ。