ありふれた恋を。

『変なこと言うなよ。有佐、ちょっと最近忙しくて片付けられてないだけだからな!』

『いや、常に埃っぽいね。若干臭うし。』

「え?」


埃っぽい上に臭う?

……。



『和哉、有佐が引いてる。』

『ははー。ごめんごめん。もう言わないって。』

「いや、引いてはないですけど…」


ただ飲み込めていないだけだ。

学校で見る先生とのギャップを。



『けど?』

「先生のイメージと違いすぎたからビックリして。」


私は学校での先生しか知らないから、想像すらできなかった先生の一面にただただ驚く。


でも、ちょっとだけ嬉しかった。

先生の素顔が見れた気がしたから。

気付けばあの部屋での重かった空気も先生の態度も、すっかり明るくなっている。


それと同時に、私の知らない先生を沢山知ってるお兄ちゃんに軽く嫉妬した。

お兄ちゃんに嫉妬しても仕方ないんだけど。



『なぁ夏波、弘くんて学校じゃどんな感じなん?』

「えっと、先生はね…」


先生は、、


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