ありふれた恋を。
「先生は…授業が分かりやすくて、黒板の字が綺麗で、生徒想いで、優しくて、皆から慕われてて、爽やかで…」
って私、何言ってんだろう。
調子に乗って先生の好きなところを並べてしまった。
先生が聞いてるというのに。
急に恥ずかしくなって、そこで言葉に詰まる。
『へぇー。弘くん猫被ってるんだ。』
『被ってないから!』
お兄ちゃんの呟きにすかさず先生がツッこむ。
『だって、猫被ってなきゃこんな評価になんないでしょ。』
『ちゃんと仕事してる証拠だろ?』
普段からこんな風にくだらないやりとりをしているんだろうなと思うと微笑ましい。
「先生、人気者なんだよ。」
『そんなことないよ。』
サラッと否定するけど、絶対自覚してるはずだ。
『まぁな~弘くんイケメンだもんな、顔だけは。』
『お前さっきから失礼極まりないな。』
『事実を言ったまでさ。』
私が言葉を挟む隙もないくらい、2人はとても相性が良いみたいだ。