ありふれた恋を。
「そう…だよね。伊吹くん、格好良いもんね。」
心に少しの罪悪感を感じながら呟く。
見てるのは、先生なんだけど…。
『だよねー。…もしかして、好きになっちゃったとか?』
「えっ?ないない!それはない!」
『そんな全力で否定しなくても。』
「だって…」
私が好きなのは先生だもん。
気付かれたくなくて伊吹くんを見てたことにして、でも変な勘違いをされるのは困る…なんて都合が良すぎるだろうか。
『有佐。』
「わっ!」
不意に後ろから大好きな声が聞こえて、大袈裟に反応してしまった。
『ははっ、ごめん。ビックリさせちゃったね。』
振り向くと先生が立っていて、さらに心臓が跳ねる。
ついさっきまで下でサッカーをしていたとは思えない程の爽やかな笑顔で。
『何話してたんだ?』
「いやっ、別に!」
先生を見ていたなんてことも知られたくないし、それを隠す為に伊吹くんを見ていたことにしたなんて余計に知られたくない。