ありふれた恋を。
「顔だけはイケメンってどういうこと?」
『有佐、そこ食い付かなくていいから。』
いやいや、気になるって!
たぶんまた「部屋が汚い」とかそういう系のことだろうけど…。
『うーん、顔はシュッとしてんのにさ。中身がちょっとね…』
『和哉も真面目に答えなくていいから。』
「え?聞きたい!」
制止しようとした先生を更に私が止める。
中身が、なに?
『中身がねぇ……女々しい。』
「はい?」
め…女々しい…!?
また先生のイメージからは遠すぎるワードが出てきた。
この人はいったいどれだけの引き出しを持っているのか。
『適当なこと言うなよ。』
『なんで?俺はそう思うけどな~。いっつもメソメソしてさ。』
メソメソ。
ギャップ、またひとつ追加。
『あのなぁ、一途って言えよ。』
『ぷっ。良いように言い過ぎだから!』
「…???」
今2人の頭の中にはきっと同じことが思い浮かんでいて。
今話しているというより懐かしい思い出話をしているような。
予想以上に仲が良いらしい2人の会話に、私は全く付いていけなかった。