ありふれた恋を。
『そっかぁ。もう、どこ行ったんだろう。』
「滝本先生に用でもあるの?」
ちょっと、探りを入れてみる。
『ちょっと宿題のこと聞きたくてぇ…ってのは口実なんだけど。』
「口実?」
『うん、先生に会うための口実。』
そう言ってニコっと笑った顔は、悔しいくらい可愛かった。
髪だってくるくるしてるし、メイクもバッチリだし。
読者モデルをしてた先生の元彼女もこんな感じだったのかな、なんて少し想像してみる。
『私、先生のこと好きだから。頑張ってアピールすれば、ほら…そういう可能性もあるかもしれないじゃん?』
先生が好き…。
あまりにもサラッと告白されて拍子抜けした。
「可能性って何?」
『…先生と生徒の禁断の恋、みたいな?』
そして今度は小悪魔っぽく笑う。
先生と生徒の禁断の恋、か…。
そんなもの生まれるのかな。
って、私もそれを望んでるのか…?