ありふれた恋を。
後にも先にもいないような女性。
先にもいない…そう言い切れるのは、なぜだろう。
先生のことが好きで、先生の力になりたくて、先生の傍に居たくて…。
それを望んでいるのに、もし叶ったとしても先生は私と彼女を比べるんじゃないかって、そう思ってしまう。
好きじゃなくても頭の中にはずっといて、先生はきっと、今でも彼女の姿を追いかけている。
「彼女さんは先生がサッカー選手になれるかもしれないから付き合ってたって言いましたよね?」
『うん。』
「それはどうして分かったんですか?何かの間違いじゃないんですか?」
先生はまだ、こっちを向いてくれない。
何かの間違い…それを1番望んでいるのは先生のはずなのに、答えを聞く前にその背中で分かってしまった。
『言われたんだ、彼女に。だから何の間違いでもない。』
言われた…?
プロへの道を絶たれて、絶望の中にいた先生に対して、直接…?
そんなの…残酷すぎるよ。