ありふれた恋を。
『あなたのせいで、私の計画がめちゃくちゃだって言われた。そのとき知ったんだ。彼女にとって俺は、所詮アクセサリーみたいなもんだったんだって。』
計画がめちゃくちゃ…。
彼女の優しさだけを求めていた先生に、そんなこと言うなんて…。
私には、理解できない。
心の奥底から沸いてくる、怒りや苦しさや切なさがごちゃ混ぜになって私を支配する。
彼女が許せない。
先生を深く傷付けた彼女が。
だけど…
「先生…。」
『ん?』
「先生、やっぱりバカですよ。」
『えっ?』
今は、そんな彼女を未だに忘れられない先生の方が許せなかった。
『はははっ、そうだよな。バカだよな。』
「どうして忘れられないんですか?そんな酷いこと言われたのに、どうして今でも想ってるんですか?」
いくら好きでも、信じてても、そんなこと言われたら冷めるものじゃないの?
「先生…バカだよ…。」
なぜか涙が出てきた。
「先生、自分で自分を縛り付けてる。」
彼女の裏切りに縛られて、偽りの優しさに縛られて、去った後の残像に縛られてる。
そんな自分を責めてる。
「早く、自分を許してあげて…?」
1番幸せにならなきゃいけないのは、苦しみすぎた先生自身だ。