ありふれた恋を。
◆第二章◆

完璧教師の動揺。


【hiroto side】


あの日から、彼女が俺の元を去った日から、もう2年が経った。


未だ俺の胸の中を占拠する彼女を忘れるなんてことは俺にはできなくて。

裏切られた傷や彼女を嫌いになれない自分への情けなさは、たとえ新しく好きな人ができたとしてもずっと抱えていくのだと思っていた。


だけど、なぜだろう。



『私じゃ、先生を救えませんか?』


ひとりの生徒の言葉が、俺の胸の中に居る彼女の影を薄く、薄くしていく。

そしてその生徒の存在が、どんどん大きくなっていく。


俺は、この子に救いを求めているのか…?

何の汚れもない笑顔と、常にありのままでいられる強さ、俺を見る儚い瞳。


この子の前では、俺は限りなく弱い。

無惨に終わった恋、去って行った彼女を今でも想っている姿を情けなくも全て見せてしまっている。

だけど、そんな弱い俺に「守りたい」と思わせるこの子は…彼女を忘れさせてくれるのだろうか。



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