ありふれた恋を。
成績は優秀、性格は明るく社交的、容姿は派手。
友人関係は広く華やか。
それが俺の元彼女。
大学に入ってすぐ、試合を観に来ていた彼女に声をかけられた。
一目惚れしました、というとんでもなくストレートな言葉を投げてきた彼女に、たぶん俺も一目惚れしたんだと思う。
せめて付き合い始める前に友人として接していれば、彼女の目的をその時点で見抜けたかもしれないのに。
プロになることを全力で応援してくれて、いつも俺の身体を気にかけてくれて、優しく素直な彼女だと思っていた。
読者モデルをしていることから彼女は男女問わずよく声をかけられていたけれど、俺はそんなことどうでも良くて。
ただ彼女が、1人の女性として心から好きだった。
プロへの道が具体的に見えてきたとき、俺は怪我でサッカーから離れることになる。
絶望して、絶望して、絶望した。
何もかもを失ったと思った。
何もかもがどうでも良いと思った。
彼女が居てくれればそれで良いと思った。