ありふれた恋を。
だけど彼女は俺から離れて行った。
プロになってくれなきゃ意味がなかったという言葉を残して。
自分はプロのモデルになって、プロのサッカー選手の彼氏が居て。
一生懸命支えてサポートしてるんですとアピールする。
それが彼女のステータスだった。
彼女にとって俺は、所詮その程度の存在でしかなかったんだ。
こんなにも分かりやすく裏切られたのに、俺はその現実をなかなか受け入れることができずに長々と引きずり続けた。
最低だと切り捨てても良かった。
思う存分苛立ちをぶつけても良かった。
だけど彼女を責めることを何1つしなかったのは、失って改めて彼女の存在の大きさを突きつけられたからで。
彼女の本心に気付くことができず、ただ純粋に彼女を好きでいた自分。
裏切られても尚、彼女のことを信じていたかった自分。
呆れるほど、彼女のことが好きだったのだ。
教師になってからの日々はとにかく必死で慌ただしく過ぎて行った。
そんな日々に忙殺されて彼女のことを少しずつ思い出さなくなっていったのか、有佐夏波という生徒に出会ったから思い出さなくなっていったのか。