ありふれた恋を。

「いいよ、そんなの。俺の方こそ、気遣わせて悪かったな。」


和哉には、瑠未とのことは既に話してある。


男同士、寄れば女性の話になるのは当然の流れだ。

和哉は1歳年下ではあるが数少ない信頼できる友人で、話すことにためらいはなかった。

和哉もサッカーをしていたこともあり、俺の気持ちを心から理解してくれた。

いつまでも瑠未のことを忘れられずにいた俺に笑い話として瑠未のことをイジっては笑わせ、前を向かせてくれたのは和哉だ。



『今度からは気をつける。』


和哉はホッとしたように笑って、料理を皿に取り分け始める。

これを謝りたくてわざわざこんな豪華な料理を作っていたのか。

そう思うと健気で可愛いやつだ。



『でも驚いたなー。弘くんが夏波の先生なんて。』

「俺も驚いたよ。和哉と有佐が兄妹なんて。」


この部屋のドアを有佐が開けたときの驚きを思い出す。

顔はあまり似ていないけれど、穏やかに優しく人を想う姿がよく似ている2人だ。


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