ありふれた恋を。

普通生徒の日々。


先生に想いを告げてから、1ヶ月以上が経った。

先生に声をかけなくなり、あの部屋に行かなくなり、目で追わなくなり…。

少しずつ、私の日常から先生の色が消えていく。


あのとき、先生は『また来いよ』と言ってくれた。

だけどそんな言葉を真に受けないくらいには、ちゃんとフラれたつもりだ。

前の彼女さんのことも、サッカーに挫折したことも、それを支えたかったという私の気持ちも、少しずつなかったことにしてきた。


それで良い。

それで良いんだ。



『なつなつー!』


そんな変わり始めた日々の中で、彩ちゃんに声をかけられることが多くなっている。

先生への想いを隠そうともせず私に声をかけてきた日から、すっかり友達のように接してくる。



『ねぇ、一緒にお昼食べよ?』


声をかけてくるのは決まってお昼休みで、決まってこの言葉だ。



「ごめん、約束してるから。」


そして私の答えも、決まってこの一言だ。


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