ありふれた恋を。
先生は、私が1年の時の副担任だった。
新任でやって来た先生は、おばちゃん教頭からえらく期待されていて、いつも子供のように可愛がられていた。
ただ単に先生に期待しているのか、それともルックスにやられただけなのかは分からないけれど…いつもやたらと先生にベタベタしている印象がある。
先生を好きだと実感したのは、その姿にヤキモチを妬いたから。
教頭先生に(しかもおばちゃんの)ヤキモチ妬くなんておかしな話だけど、何だかその距離の詰め方が妙に嫌だと思った。
先生に質問したり。
なんとなく話してみたり。
そんなことを繰り返している内に、どんどん先生のことを好きになっていった。
先生からして私はただの一生徒だということに変わりはなかったけれど、先生を見たり、話したりできるだけで幸せだった。
2年になって先生のクラスじゃなくなってからは、授業以外ではほとんど会わなくなった。
たまに質問に行ったりしてみたけど、いつも2組の生徒に捕まっていたからそれもやめた。
『有佐さん3組なんだから、3組の先生に聞けばいいでしょ?』なんて言われて…。
今思えば、あれはさっき先生の腕を掴んでいた子だった。
…先生のこと、好きなのかな。