ちくわ部
そんなこんなで部室に到着。
部室棟はわりと新しいつくりで、まだ小綺麗なままのドアはすんなりと開いてくれる。
「こんにちはー……」
「ん、陣野さんに奈津。こんちゃー」
「おー、奈津、ねぎ子ー。早いねぇ」
「こんにちは。メール来たの、ここに向かってる途中だったんで」
先に部室に居た菊池先輩とジン先輩軽い挨拶を交わし、私の視線はその奥に佇む二人の男子生徒へと。
片方はジン先輩ほどではないがけっこうな長身。
もう片方は小柄で童顔で、中学生と言っても通りそうだった。
「あっ……君が麻衣ちゃんか!」
小柄なほうの男子生徒は、ぱあっと表情を明るくさせると私たちのところに駆け寄ってきた。
ネクタイの色は赤……二年生。
つまりこれが、先日話していた『真崎さん』だろう。
身長は私と同じかすこし大きいかくらいで、間近に立たれてもジン先輩のように見上げる必要はなかった。
「俺、二年の真崎 春日(まざき はるひ)、よろしく! いやー、写メで見たより可愛いねぇ」
腕を組みながら満足そうにうんうんと頷くその先輩の肩に、ジン先輩はぽんっと手を置くと、耳元に口を寄せて、どこか色っぽい声で囁く。
「だぁーめだめ、その子は既にきっちーが口説いてるから、そんな月並みな文句じゃ落ちないよー」
なんの話だ。
ジン先輩にペースを掴まれると色々あらぬことを吹きこまれる心配があるので、すかさず私は遮った。
「いや別に誰にも口説かれてませんし……というか、写メって何の話ですか!?」