ちくわ部
 
それが癇に障ったのか、さっきまで茫然としていた真崎先輩の瞳に再び意思が宿る。

体格が一回り以上違うジン先輩をきっと睨みつけると、力のこもった声で非難の声を叩きつけた。


「お前なぁ……デリカシーとかないわけ? 女の子に対してそれは……可哀想だろ!」


「はー? そうやってねぎ子庇ってポイント稼ごうったって無駄だよー。俺、まるについてあることないこと吹き込んじゃってるもん。先入観って大事だよねー」


糠に釘とはこのことか。

否定されようが非難されようが、ジン先輩に堪えた様子はない。

それどころか反撃とは……よほど肝が据わっているのか、人の意見を聞く気がないのか。


しかし今回は私だったからまだいいが(いや良くはない)、他の子でやったら訴えられたりしても文句は言えないだろう。

きちんとすべき部分は正すべきだ。


「……もういいです。その……隠し撮りとかそういうのは、できればやめてもらえると嬉しいんですが」


「んー、そうだね。ごめんね、ねぎ子」


思ったより素直に謝ってくれた、が。


「……あんま怒らないんだね。もっとガミガミ怒られるかと思ったのに。ていうかあれねぎ子じゃないよ、写真撮ったってのは嘘。拾った写真加工してそれっぽくしただけ」



「え?」



「ちなみに加工は奈津が」



「え?」


思わずみんなで奈津さんのほうを見ると、照れたようにもじもじとしている。

いやそこ照れる所じゃないから。
 
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