ちくわ部
 
「『はるひちゃん』だもんねぇ。良い名前だと思うけどなー、可愛くて。あ、そうだ。まるに突然『ハニー』とか呼ばれたら訴えていいよー」


「呼ばねえよ……クサすぎるよ……あと可愛いって言うな寒気がするわ」


さっきからジン先輩の発言にいちいち突っ込んでいて疲れたのか、真崎先輩のテンションが下がってきた。

へらへらとふざけるジン先輩に対していちいち全力を出していたらそりゃ疲れる。

菊池先輩のように適度にスルーする、ということがどうも苦手らしい。

早速私は少し慣れてきたぞ。


それにしてもこの真崎先輩という人。

マイペースで自由で見た目と中身のギャップがあまりにもアレなジン先輩もかなりの濃さだと思うがこちらも……失礼を承知で表現する。容姿からして相当だ。

この部活において、真崎先輩はただひたすらに弄られる側のようだし、それでもここに顔を出すと言う事は……

先日の帰り路にジン先輩が言っていたように本当にマゾの気があるのかもしれない。


「ちなみに公然わいせつ罪で」


「なんでだよ!?」


私がそんなことをぼんやり考えている間にも、言葉の応酬は止むことなく続いている。

わけのわからない方向に話をかき乱すジン先輩と、それに突っ込み続ける真崎先輩。

真崎先輩に至っては突っ込みに力んだ挙句立ち上がってしまっているし。

しかしジン先輩は罵倒されようが指をさされようが堪えた様子はなく、へらりと笑いながらかわしている。
 
< 38 / 73 >

この作品をシェア

pagetop