ちくわ部
これで楽しんでいるとしたらやはり真崎先輩は真性のマゾさんなんですねということになってしまうが、どちらかというと嫌そうにしているように映る。
というかジン先輩がさっきから、口にするのも憚られるようなスケベワードを連発して……いや、これはあまり聞かなかったことにしよう。
塩田君の笑いのツボも奈津さんの和みポイントもさっぱり分からないが、どうやら真崎先輩を助けてあげられるのは私しかいないらしい。
しかし、かといってあの間に割って入るのも……ジン先輩の弄る相手が私にでも変わったらどうしようもない。
ここはもう一度話題をそらす事にしよう。
というか、話題をそらしたはずなのに結局真崎先輩が弄られるパターンになってしまったことについてはもう考えない。
異性の話と名前の話はダメ、なるほど覚えました。
たぶん身長の話もダメだろう。
「あ、そうだ……菊池先輩って、基本的には毎日来てるんですよね?」
しかし具体的に真崎先輩以外の誰かの名前を挙げれば、もうそんな流れにはならないだろう。
へ? と間の抜けた声とともにジン先輩が振り返った。
即座に切り返すネタは持ち合わせていないらしい。
「うん。そうだよー。きっちーは部室の妖精さんみたいなもんだしね。帰るのはやたらめったら早いけど……それがどうかしたの?」
それからひとつ頷くと私の狙い通り、まともに答えてくれた。
菊池先輩がさりげなく人外扱いされているが、本人もいない事だし突っ込んだらややこしくなるのでスルーしておこう。