ちくわ部
男の人の友情というのはさっぱりしていて陰湿さがなく、少し羨ましい。
……偏見かもしれないけど。
しかし今のセリフをジン先輩が聞いたら、『俺は友達だと思ってませんけどー』とか言ってさらに弄りだしそうだ。
……既にジン先輩の思考パターンを把握しつつある自分がなんだか嫌だ。
本心であってもそうでなくとも否定しそう、という点において、真崎先輩の曖昧な物言いにも共感できる。
ジン先輩は、分かりやすいけど分かりにくいのだ。
「でも確かにやられっぱなし、ってのがシャクなのも事実かなー。この年じゃもう背伸ばすの難しいかねぇ……ねー塩田ぁ、どうやったらそんなデカくなれんの?」
だから背を伸ばせばいいってもんでもないと思う。
なんとなく、真崎先輩は身長さえ伸ばせばジン先輩に勝てると思っていそうだ。
いや間違いなくそう思っている。
しかしジン先輩はかなり長身の部類だし、仮に真崎先輩がこれから伸びたとしても……追いつくことは絶望的としか思えない。
そしていきなり話を振られた塩田君はというと、本日何度目なのかもう分からないがとにかくまた硬直していた。
「……遺伝とか、ですか」
故意ではないであろうたっぷりの焦らしタイムのあとに答えるが、先天的な要素を挙げられてもどうしようもない。
それを聞いた先輩は、真面目に捉えてしまったようで頭を抱えていた。
「俺の両親小柄だから無理だ……」