ちくわ部
「男なのにかわいいって言われても嬉しくないし……それにさ、今時160超えの女子も珍しくないじゃん? ……女子と目線が並ぶとか、見下ろされるのって結構キツいんだよ……」
確かに男子としては辛いかもしれない。
真崎先輩にとって、身長を馬鹿にされることは男としての矜恃が突き崩されるに等しいのだろう。
さて、完全にネガティブスイッチが入ってしまった。これからはあまり身長について触れないようにしなければ……
真崎先輩にとっての爆弾話題として覚えておこう。
もっとも、見るからに小柄な真崎先輩を見る度に思い出せるだろうから意識的に覚える必要はなさそうである。
それに、どうせ私達が気を使おうとジン先輩が着火するのが目に見えていた。
要するに、頭の片隅にでも入れておけば十分だ。
「えと、あの……元気出して下さい……ジン先輩だってほら、逆に大きすぎて困ることとかあるかもしれません」
「……たまに、頭ぶつけてたり……あとはどうしても目立っちゃったりとかして困るって言ってました」
「あ、俺もたまにですけどすれ違う人にじろじろ見られたりとか……」
そんな思いは表に出さずフォローしてみると、奈津さんと塩田君まで必死に加勢してくれる。
塩田君がじろじろ見られるのは身長だけの話じゃないと思ったけど。
「既に大きい人は縮めませんけど、小さい人は伸びる可能性がありますし……ほら、きっとなんとかなりますよ!」