ちくわ部
私達のチープな励まし。
それでも真崎先輩にはそれなりの威力をもって響いてくれたらしい。
どんよりと曇っていた表情は見る間に晴れ、その目尻には感涙さえ浮かんでいるように見えた。
「うう……今年の一年生は本当に優しいなぁ! 今までバカにされっぱなしだったけど……うん、俺、前向きに頑張るよ……!」
なるほど扱いやすいぞこの人。
ジン先輩がおもちゃにするのもわかる気がする。
「そうですよ。ここでくさってても意味ないです。さ、帰りましょう先輩」
オーバーに感激する真崎先輩を連れて、四人でぞろぞろと帰路につく……はずだったのだが。
……デジャヴ。
いや、こないだもこんな事があった。
「君らほんとどーやってここまで来てるのさ? いや確かに俺は先に行ったけどねー? 別の校舎の端まで行って帰って来てる俺と同着ってどんだけまったりしてるの?」
私たちはまた、校門でジン先輩と出くわしたのだった。
「何言ってんだよ……お前こっそりエレベーター使ってんだろ」
「あ、バレてた?」
職員用エレベーターをちゃっかり使っていたというジン先輩は、悪びれた様子もなく肩を竦めた。
エレベーターを使っていたにしてもそう差が出るものではない気がするが……まあ、大した問題じゃないか。
ジン先輩は背が高いから、コンパスの差の問題かもしれない。
「先生が来そうな時間はだいたい分かってるしねぇ。それさえ避ければ使っても意外とバレないもんだよー」
「俺にはバレてるけどな」