ちくわ部
自分で言っておいて、今の発言の間抜けさがおかしかった。
どうやら私は、自分で思っていたよりよっぽどリラックスしていたらしい。
それこそ、無意識に考えなしのへんてこな発言を飛ばしてしまうくらいには。
ジン先輩はそんな私を見ながら、くすくすとおかしそうに笑った。
「変なの。ねぎ子、実は天然?」
「いや、言われたことはないです……」
「ふーん」
いたずらっぽく口角を上げたジン先輩が、まるで次のおもちゃは君だよと言っているようで少しだけ戦慄したことは、おそらく気取られていない。
そんなこんなで、私たち五人は駅に到着。
放課の直後でも最終下校時刻でもなんでもない半端な時間のため、名桜学院の制服を着ている人の姿はほとんど見えない。
この部活ならラッシュにぶつからなくて済むし、帰りもゆったりできそうだ。
「んー、今日はそっちの電車が先だなー」
線路の先を見つめながら、ジン先輩が呟く。
確かに彼の目線の先にはこの駅に向かう電車があって、そしてそれは私達の乗るほうのもの。
「ほんとだ。ちょうど来てますね」
私が同意すると、今度は真崎先輩がこちらに振り返って笑った。
「おっ、二人とも電車こっち?」
「はい」
「俺も、です」
この間岡野兄妹と帰ったときは、別々の方面だった。
しかし真崎先輩と塩田君は、私と同じ方面の電車に乗るらしい。