Nightmare
「バクがあたしの夢を食べたら、もうこの夢は見なくなるのかな」


食べたらなくなっちゃうよね。

こんなつまんない夢、見たって嬉しくないし。

夢を夢だと分かりながら見ることほど、冷めるものはない。

バクはまたくすくすと笑った。


「さあ? だけど、また最低でももう一度は見ることになりそうだ」


「……え?」


「今日は、ここまで」


立ち止まってバクに向き直った途端、辺りがぶわっと真っ白になった。

どこまでも白く染め上げて、空に吸い込まれていく。


あぁ、知ってる。

夢から醒めるんだ。






いつもの朝、あたしの部屋。

世界を切り替えた犯人である目覚まし時計を、握った拳で思い切り叩く。

ちょっとだけ嫌な音がして、そのアラームは止まった。


なによ、もう。

せっかく夢の続きに進めたのに。


目が醒めたらまた最初からやり直し。

もう一度……バクには会えるだろうか?
 
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