Nightmare
その日の夜、眠りに落ちたあたしはまた夢を見た。
白と黒の世界。だけど――
「違う……」
いつものスタートラインじゃ、ない。
分かる。
あたしは知ってる。
ここ、昨日バクと別れたところ……目が醒めた場所だ。
夢の続きを見られてるんだ!
「やあ、こんにちは。それよりおやすみ……かな?」
低く艶のある声。
振り向いたそこにいたのは、細身で長身のシルエット。
バクだ。
「塔、目指そう。早く行きたいの」
「焦らなくても塔は逃げないよ。俺がこの夢に来る限り、君は夢の続きを歩けるんだからね」
やっぱり、先に進めたのも続きから見られたのもバクのおかげなんだ。
バクだってあの塔に行きたいって言ってた。
なら、塔に着くまであたしの夢に出てきてくれる。
夢を食べてくれたら、きっとこのつまんない夢は終わる。
バクが、あたしの夢を変えてくれる。