Nightmare







その日の夜、眠りに落ちたあたしはまた夢を見た。

白と黒の世界。だけど――


「違う……」


いつものスタートラインじゃ、ない。

分かる。

あたしは知ってる。

ここ、昨日バクと別れたところ……目が醒めた場所だ。

夢の続きを見られてるんだ!


「やあ、こんにちは。それよりおやすみ……かな?」


低く艶のある声。

振り向いたそこにいたのは、細身で長身のシルエット。


バクだ。


「塔、目指そう。早く行きたいの」


「焦らなくても塔は逃げないよ。俺がこの夢に来る限り、君は夢の続きを歩けるんだからね」


やっぱり、先に進めたのも続きから見られたのもバクのおかげなんだ。

バクだってあの塔に行きたいって言ってた。

なら、塔に着くまであたしの夢に出てきてくれる。

夢を食べてくれたら、きっとこのつまんない夢は終わる。

バクが、あたしの夢を変えてくれる。
 
< 11 / 60 >

この作品をシェア

pagetop