Nightmare
「それにしても……色んな人の夢を食べてきたけど、世界の主と話したのは初めてだ」


あたしの顔を見てにこりと笑いながら、バクが言った。

世界の主?

あぁ、そうか。

ここはあたしの夢の中だから、あたしが主なんだ。


「いつもはひっそり食べちゃってるってこと?」


「そうなるね」


悪びれなく笑う彼は、どこか楽しそうだった。

もしかしなくても、ずっと一人ぼっちだったのかな。

一人で、色んな人の夢を渡り歩いてきたんだろうか。


夢の中で一人ぼっちだったのはあたしもだ。

なんだか、おかしいな。


「どうして笑うの?」


「さぁ? バクが笑うからじゃないの」


でも今は一人ぼっちじゃない。

あたしの隣にはバクがいる。

一緒に塔を目指してくれていて、そして――



ついに待ち侘びていた瞬間が訪れる。

塔に辿りついたんだ。
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