Nightmare
……バクだ。

服装こそ違うものの、華奢で長身な体躯といい長めの前髪といい、あれはバクにしか見えない。

極彩色の景色のなかで、白っぽい服装のバクはそこだけ塗り忘れた塗り絵みたいに浮いて見える。

これってもしかして、バクの夢の中……?


バクは少し俯き加減のまま、森を歩いていた。

あたしには、気がついていないみたい。


「バク!」


あたしは彼を呼んでいた。

危ないかも、なんて思わなかった。


だけど、反応はない。


もしかして、聞こえてない?

他の人の夢の中だから?


仕方ないから、後ろからこっそりついていくことにした。

バクの夢もおんなじだ。

木の生えていない、真っ黒でつまんない地面が伸びてる。

その一本道を導かれるように、進んでいた。
 
< 22 / 60 >

この作品をシェア

pagetop