Nightmare
「まだろくにここでの動き方もわからなくて飛べもしないんだから。あそこで放っておいて落っこちたとしても、ここで『死ぬ』ってことはなかっただろうし、あーあ、ほっとけばよかったのかな」
……こういうところは本当に意地悪だと思う。
同じことを言うのでも、もうちょっとソフトな言い方はできないものだろうか。
こんな、わざとらしく嫌味ったらしく、ねちねち責めなくたって。
あたしは勢いよく立ちあがって振り向くと、そいつに向かってびしりと指をさしてやった。
「あーもー! さっきからネチネチネチネチうるさいなぁ! わぁかったよ、あたしが悪かった、これでいいでしょ!?」
「そうだね。悪いのは君だと思うよ。そもそも、君のスカートの中が見えたところで別に俺が得するものでもないし」
「うぐっ……」
無表情のまま、まるであたしには色気がないというか色気の価値もないというか、そんな感じの事をさらりと言ってのける。
頭ひとつぶん以上身長の高いそいつをぎろりと睨んでも、別に動じやしなかった。
諦めのため息をひとつついてから、あたしは『イメージ』する。
今穿いている膝あたりまでの丈のあるふわっとしたフレアスカートではなく、動きやすいホットパンツ。
ええと……あとは黒のニーソックスでいいや。
やがて、イメージ通りにあたしの身に付けた服装が変わった。