Nightmare
それにわりと根暗。

フード付きのパーカーを好み、視界が広いと落ち着かないだかなんだか言いながら常にフードを被っている。

くせ毛っぽい髪も長めで、前髪で目も隠れがち。

そのため表情を伺いにくい。

そもそも、あんまり表情が変わらないのだが。


『貘』の証であるらしい金色の瞳が、どこか冷たい印象を与えるような人だった。

――だけど本当は冷たい人じゃないって、あたしは知ってる。



「そっちこそ、『助けてやった』オーラばりばりに出してたじゃんよ」


「そんなの出した覚えはないね。『あぁ、相変わらず手がかかるなぁ』くらいのことは思ってたけど」


「似たようなもんじゃん!」


でも、普段のスタイルがこうした嫌味マシーンだからこうなってしまう。

言っていることは正しいんだろうと思うし、助けてもらったのはあたしだし……悪いのはあたしなんだろうけど、こう言われては素直にもなりにくい。


「ま、まぁ。助けてくれたことについては、ありがと……」


「へぇ、急に素直になっちゃって。何を企んでるのやら」


こちらが折れた途端、端正なその顔が意地悪な笑みを浮かべる。

にやにやと笑い出したらもうだめだ。


暫く一緒に過ごして気付いたんだけど、バクはちょっとサドっぽいところがある。

しゅんとなったあたしにさらに追い討ちをかけて、遊ぼうとするふしがあった。

だけどもちろんそのままやられっぱなしになるあたしじゃない。
 
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