シュートにかけた恋
「あんなチャラチャラした髪に
あのスーツじゃホストにしか見えなかったよ。生徒に注意されたことを真に受けてたし。」
本棚に視線を向けて思い出すように話している潤を見て安堂先生は笑顔で見ている。

潤がココアを飲もうとした時、
左腕の手首に白い包帯が巻かれ
ているのを安堂先生は見逃さな
かった。
急に真剣な顔になり潤がココアを飲み終わってから潤に質問した。「潤ちゃん。また切っちゃたの?また思い出したの??大丈夫だから先生に話してごらん。そのまえに腕見せてちょうだい。消毒しないとせっかくの細くて綺麗な腕に跡が残って台無しだわ。」

潤は、うなずいて安堂先生に腕を見せた。
包帯をとると、新しくつけられた傷が何箇所もある他に治って跡だけ残ってしまった傷が複数ありそれは痛々しいものだ。
いつの間にか潤の瞳から涙が
溢れて体は震えていた。
安堂先生は、潤を優しく抱き締めて「大丈夫。大丈夫よ潤ちゃん。あなたは1人じゃないわ。私がついているからね。」っと言って潤をなだめた。
潤は落ちついてきて安心したのか眠気に襲われてそのままソファで寝てしまった。

「本当に世話のかかる子。まぁ
可愛い生徒だからいいんだけど。安心できる場所が早く見つかってくれるといいね。」
そんな事を言いながら潤の左腕
の消毒をして包帯を巻き直して
潤の寝顔を眺めていた。
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