今なら素直に好きと言える
 



「……あ、あの……大丈夫、です」


とにかく、気持ち悪いと思った。



中学2年生を相手にあそこまで顔を近づけ、こちらが引けば相手は引いたぶんだけ近づいてくる。


いくら若い先生であっても、あんなに顔を近づけられては気持ち悪いという印象しか残らない。



「そっか。しんどくなったらいつでも言うんやで?」


その先生はにこりと微笑むと、やっと顔を遠ざけてくれた。


亜結は嵐が去ったかのように安堵の溜め息をつき、また電車の外へ目をやった。



「(あの先生気持ち悪い。てか最悪)」


このときは、そうとしか思わなかった。
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