孤独な花と孤高の王子





その光景を、私はずっと忘れられないかもしれない。




―――部屋の電気をつけたまま床に倒れている義父の姿。
揺すっても呼びかけても、全く返事をしてくれない。


私は震える身体を何とか律して一階に下り、救急車を呼んだ。




………不思議と涙は出なかった。


ただ無心に祈った。


誰でもいいから。
…なんでもいいから、助けてほしかった。





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