孤独な花と孤高の王子





立ち上る細い煙。


それは母と義父を繋ぐ糸に見えた。
そして、私と篠宮さんを繋ぎ止めていた糸のようにも見えた。


この糸は、いずれ消えてしまう。
…義父は、母の元にいけて幸せなんだろうな。






私は、その煙を見つめながら一人で泣いていた。


…訳もなく流れる涙の意味を、なんとなく理解しながら。



これが終われば、すべてが終わる。
………終わらせてしまうんだ。





< 106 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop