孤独な花と孤高の王子
そう言いながら私の隣に立つのは、ずっとお世話になっている院長先生だ。
私が立ち上がり頭を下げようとするとそれを制して、院長先生は話し出す。
「笹倉さんがうらやましいですよ、こうやってお嬢さんがお見舞いに来てくれるんですから。………ところで、お嬢さんを少しばかりお借りしてもよろしいですか?」
その声に義父は頷き、私は院長先生のあとをついて行く。
病室から少し離れた個室に案内された私は、なんだか言いようのない不安に襲われながら勧められたままいすに腰をかけた。
「―――お父様のことなんですが…」