孤独な花と孤高の王子
そのとき、背後に人の気配がした。
振り向くとそこには篠宮さんが立っている。
私の様子に心配そうな表情を浮かべる彼に、私は慌てて取り繕った。
「あ…私、着替えてきます」
そう言って自分の部屋に入ろうとしたところで、彼は急に私の身体を抱き締めた。
「真琴、…好きだ」
そう囁く声が私を誘うように私を捕らえて離そうとしない。
決心が揺らいでしまいそうだったから、私は叫ぶようにこう言った。