孤独な花と孤高の王子
涼やかに会場に響く篠宮さんの低い声。
今からその声で婚約者の紹介を聞かされるのかと思うと、私は泣きたくてたまらなかった。
私はパーティーバッグからハンカチを取り出して、力を込めて握りしめる。
しかし、そんな私のことなどお構いなしに篠宮さんは話し続けた。
「―――私事ではありますが、この度婚約させていただくことになりました。只今より皆様にご紹介させていただきます」
そこまで言うと、さすがに緊張しているのか篠宮さんはマイクから離れた。
そして、ゆっくりと口を開いた。