孤独な花と孤高の王子
後ろを振り返ることもできないまま、私はただ突っ立っていた。
「え!?ねぇ、研究開発室の笹倉って…君のことだよね!?」
私のそばにいた高橋さんがそう騒いだもんだから、周りの視線が一斉に私に集まる。
私がいたたまれなくて顔を真っ赤にして俯いていると、背後に人の気配がした。
「………まーこと?これが俺の決意だよ」
そう言うのと同時に私の身体は簡単に篠宮さんに包まれてしまう。
歓声や悲鳴に近い声の中、私は篠宮さんに抱きしめられてしまった。