孤独な花と孤高の王子





開発室を出て外の空気を吸うと、何となく一日の疲れが抜ける気がする。
私が傾き始める夕日を眺めながら息をつくと、どこからともなく私を呼ぶ声がした。



「笹倉、遅いぞ」


その声にギクッとしながら振り返ると、そこにはあの人が立っている。



「…おい、忘れたのか?約束は守れよ」


そう言われて私は目を見開いた。
…そうだ、今朝………



「わ、忘れてませんけど…」





< 23 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop